愛媛県内子町小田地区は愛媛県のほぼ中心に位置します。谷地形で平地が少なく、森林に囲まれた中山間地域です。
標高
標高は一番低い寺村や吉野川地区で約100m、人が住む地域の最高が上川の久保野地区で620mです。
中心地に当たる道の駅や自治センター支所のあたりが120-130mです。
上川の自治会館のあたりが350mなので、100-400mあたりに人口が集中し、600mを超えるあたりまで住んでいると言えます。
人里以外では小田深山のスキー場の獅子越峠のあたりが1200mで最高です。小田深山エリアには、動植物にも変化が見られます。小田深山渓谷を流れる黒川は夏でも冷たく、入水は覚悟が必要です(笑)
森林
森林面積は面積の中でも約88%に及びます。木々に囲まれているせいか湿度が高いです。夕方遅くに洗濯物を取り込むと湿ってしまいます。冬場は昼の3時ごろに取り込む家庭が多いです。
植っている木々はスギやヒノキが多いですが、かつてはシイ、タブ、カシなど西日本全域に見られる照葉樹林帯であったと言えます。ただし小田深山周辺はブナが主要の森林帯といえます。
薪の原料になるクヌギや紙の原料のコウゾ、ミツマタなど、山の資源を使いながら平地で稲を植え、傾斜地では段畑や棚田を作り、大規模な畑を確保するため、焼畑農業(キリカエバタ)をしながら作物を育てていました。
焼畑の耕作の中でもとうもろこしはとても盛んだったそうで、西四国の中心を担っていました。
他にも麦、ソバ、米、大豆、芋類など穀物を主として、醤油味噌、漬物、酒など発酵させたしながら加工して食べていました。
また近世以降(江戸時代)は大洲藩(+新谷藩)の領地として、豊かな山でとれた木材の搬出で栄えました。小田川から肱川につながり河口にある長浜港は昭和はじめごろまで「日本の木材の3大集積地」と言われていました。小田川と肱川の緩やかな流れを活かし、いかだを組み、川の輸送が盛んでした。
気候
気温は山あいの気候で、日中と朝夜の寒暖差が激しいです。朝は長袖なのに昼は半袖なんてこともしょっちゅうです。
夏は近隣の内子の中心部や松山よりも体感で2-3°寒いというのがもっぱらです。
冬は氷点下になる日も度々あり、配管の破裂には気をつけなければなりません。
気候変動により、一概にはいえませんが、年に数回は雪が積もり、ほとんどの車にスタッドレスタイヤをつけています。国道沿いは雪が残りにくいのですが、参川地区に入ると雪の残りが多くなる印象です。また田渡地区も旧広田村に近づくにつれて
小田深山のスキー場付近でも気候変動によって、あまり雪が降らない年もあり、人口降雪がもっぱらです。
川
旧小田町を貫くのは田渡川と小田川です。小田川には堰がなく、水質もよく、豊かな生態系が残る川です。
清流に住むアユですが、アユ釣りの通の方々の中では田渡川が名所として知られています。中には「四万十川よりも小田川のアユが美味い」という噂もあります。
小田川の源流域や支流のいくつかにはホタルの名所もあり、豊かな自然体験ができるのも小田の魅力の1つです。
愛媛県で一番長い川をご存知ですか?答えは「肱川」です。
肱川の支流の中で主流は小田川にあたります。また、大洲市側の源流ではダムが作られ、源流域としての趣や生態系が小田川ほど残っているとはいえません。
小田川の資源を守り、暮らしに活用することは愛媛県の豊かな自然を代表することにもなります。
その中心を担えるのは小田に暮らす人々だけです。
近年の護岸工事や、大規模な針葉樹の植林により川の資源が目減りしています。特に川の水量の減少は激しく、小田のおいちゃんたちの話から推測するとこの50年で50-70%水量が減っているようです。
小田川を守る、小田川を育てる。川の源流の森を守ることが小田地区にしかできない愛媛の自然を代表するまちづくりです。大切なことといえます。